西山 今回、実際に展示作業をした俊ちゃんと健ちゃんにも話してもらいましょう。
山本 今日は主役が3人いるからね。
俊輔(兄) こんなにしゃしゃり出ていいのかな(笑)。
チェ 私はいつも、展示する国のアーティストと組んで、その人に素材を渡して作品を設営してもらうやり方をしています。CGで図面を作らずに、いろんな資料を見せて、私の材料を使って自由に作ってください、とオーダーするの。今回もそういうやり方で俊ちゃんと健ちゃんに作品を作ってもらった。それでいつも、作った人と一緒にインタビューを受けています。どこの国でもそう。だからいいの。
山本 チェさんと南條さんたちは、今回初めてですか?
チェ 会ったことはあるけど、一緒に仕事をするのは初めて。
西山 「コスモス」と「マリーアントワネット」を組み合わせたライブラリの展示作品は、チェさんが南條兄弟に、「これを使って、好きなように吊って」って材料を渡したのね。チェさんは、最後に少し手直しをするくらいで。だから、チェさんは作っていないんです(笑)。
チェ ガハハ(大笑い)。
山本 やってみてどうでした?
俊輔 僕も自分でインスタレーション作品を作ったりするんですが、自分とは違うタイプの作風なので、話をもらったときにぜひやってみたいと思ったんです。自分も一応アーティストだから、作業中、直感的にチェさんがどう考えて何を狙っているのかがよくわかったんです。「これはこういう風にやったらいいんだな」とか、感覚的にすごく理解できたというか。
健佑(弟) 作業中は本当に楽しくて「働いている」という感じではなかったですね。
俊輔 かなり自由にやらせてもらえたので。少しだけ「ここを変えて」ということはありましたが、自由にできる、っていうのが、すごく楽しかった。
山本 「プラスティック コラムス」はどうだったの? 最初、現場ではこのプラスティックの食器が色分けして置かれていたよね。
俊輔 これは、事前の準備がすごかったです。全部に番号が振ってあって、組み合わせが全部決まってたんです。
西山 そう。現場で決めるってことはほとんどなかった。1カ所順番を逆にしただけで。
チェ ええ。韓国で全部決めてありました。
俊輔 僕は自分の作品を作るときはその場で決めていくことが多いんですけど、全部すでに決まっていて準備されているのはすごいって思いました。
(後編に続く)
チェ・ジョンファ Choi Jeong-Hwa
1961年韓国生まれ。韓国を代表する現代アーティスト。アート・ディレクションやインテリア・デザインも手がけるなど多様な分野で国際的に活躍するチェは、日常の中から作品の着想を得ており、韓国文化と密接な関係があるモチーフや街に溢れるイメージを用いながら、ダイナミックで非日常的な作品を作り上げ、普段は気づかない、物事の別の側面をユーモラスに浮かび上がらせる。アジア、ヨーロッパ、アメリカでの個展、グループ展参加多数。
http://choijeonghwa.com/
A PEACE OF EVERYONE展詳細はこちらをご覧ください
Photos:Yukako Hiramatsu
Text:Naoko Ando