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仙台に滞在されていましたが、最初に訪れたときから今までの現地をどのように見ていらっしゃるんでしょうか。
「僕が知っている東北というのは限られた側面ですので語れるほどではないんですけど、少なくとも約11年前くらいは仙台に関わっています。仙台には素晴らしい歴史があって、素晴らしいんですけど、近代のなかでいうと、自らイノベーションせずに、昔のスタイルにこだわったまま、みたいな風潮の街だったと思うんですよね。それがプロ野球のスタートをきっかけに、日本の中でもプロスポーツが一番集まっている都市のひとつになって。野球の始まりがひとつのエネルギーになって、街の人たちの気持ちを大きく変えていってるというのをすごく肌で感じています。スポーツを通して自分たちの街をほかの人に知ってもらおうという意欲がすごく高まってきているし、そういうスポーツチームを持っている街だからこそ、街を良くしようという活動が若者に限らずおじいちゃんおばあちゃん含めみんなで関わっていく、という場面を見ることができました。そんななか、震災があって、結構くじけそうになったんですけど、逆にそこで一体感が出て、いま、進化することをいとわない感覚を強く持っている街になったなと思いますね。行政も市民のみなさんも。だからいま仙台から、新しいことがいっぱい発信されているんですよね」
ずっと東京にいると、現地の実態がわからないというところで、関わり方が難しい、と感じる人が多いと思うんです。わたしたちに出来ることって何なんでしょう。
「すごく簡単ですよ。行けばいいんです。行くだけ。そう思ってるんだったらその日に切符買って。1時間40分でいけちゃいます。例えば、仙台に行ってごはんを食べて空気を吸うだけで、これだけですごい貢献。アーティストの人がそんな思いを持っているんだったら、恥ずかしがらずに自分の作品をどこかで人を集めて、チャリティがしたいと、ネットで探せばいくらでも協力してくれる人がいます。すごく簡単なことです。どんどん行けばいいですよね。知って、見て、それを持ち帰ることが一番大事。いま、あれから数年経ったにも関わらず、日本人よりも海外の人たちが『あの地域で家族を亡くされて身寄りがなくなっている老人をサポートしよう』と言って、わざわざ3ヶ月の滞在で来ていますよ」
島田さん自身が、何かを始めることになったときに、まずは行動に起こしてみるタイプなんでしょうか。
「そうですね。どちらかというとじっくり考えるより、まずはやってみよう、触ってみようと動くタイプですね。だから知らない人とたくさん会うのが全然苦じゃない。いろいろな人と出会うなかで生まれたものもありますし。死ぬまで何人会えるかって考えますと、会っておきたいですよね。考え方を変えると知らない人と会うのってめんどくさいなと緊張するなとかあるけど、楽しもう、と思ったら楽しめますよね。そういう意味では、お茶のほかに、人に会うことも趣味と言えますね」
今後どんなことをやっていかれたいと思っていらっしゃるか、教えていただけますか。
「個人的にライフワークにしているのは若い経営者のインキュベーション、サポートというところ。それは続けていきたいです。若い経営者を育てていくためのファシリティとか環境は少なすぎますので。ウエストコースト、シリコンバレーのあたりにはスタートアップを育てるためのファシリティとかリソースがありますけど、そういう環境がもっと日本にも出来ないと、アントレプレナーが育たないんですよね。そうした若い起業家のサポートは、引き続き今後もやっていきたいです」
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島田 亨(しまだ とおる)
東京都生まれ。東海大学卒業後、株式会社リクルートに入社し、営業成績全国トップに輝く。1989年、宇野康秀氏らと共に株式会社インテリジェンス創業。その後株式会社シーズホールディングスの代表取締役に就任。2001〜2004年は投資会社の経営をしながら多くの企業に社外役員として携わる。2004年11月、楽天野球団へ。副社長を経て代表取締役に。2008年には三木谷浩史氏よりオーナー職を引き継ぐ。現在、楽天株式会社 代表取締役 副社長執行役員。若い起業家の育成事業にも携わる。
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