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VOICE 27. | 2015.April | Masamichi Toyama

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丸の内界隈にはスマイルズで展開するすべての業態が出店している。なかでも遠山さん自身が思い入れ深いのが、2009年に自身が通いつめていた三菱商事のオフィスがあったその場所にオープンした「パスザバトン」だ。

 

 

「当時はリーマン・ショックの後で、会社的にとても厳しい状況のなかで私たちは、賃料も高く、商業的にも発展途上の丸の内への出店を決めたんです。それはとてもチャレンジングな判断ではありました。けれど、中途半端な場所に出店するよりもリスクが高くても自分が挑戦したい場所の方が、踏ん張る気持ちを保てると思ったんです」

 

 

 

もちろん、まったく勝算がなかったわけではない。

 

「ヴィンテージショップやセカンドハンドといったキザな言い方もありますが、パスザバトンはあくまでもリサイクルショップ。丸の内とリサイクルショップ、この言葉のギャップが面白いじゃないですか。しかも土地柄、目の肥えたお客様がとても多い。教養があって、上品で、洗練されている、そんな成熟した方々の期待を超えるようなお店を作ることができれば、自ずと成功が見えてくると確信していました。そして街の変化に伴って、店もスタッフも成長していくだろうと」

 

 

 

「パスザバトン」はオープンから4年目で黒字に転換。人が人を繋げて人を呼び、オープンから6年目を迎えた今では丸の内に欠かせないスポットとして機能し始めている。

 

「丸の内という場所は、良くも悪くも街としての概念がはっきりしている。日本経済の中心地だからこそ、やりたいこととビジネスの両面がクリアに見えてくるんです。だからこそ挑戦し甲斐があるし、揺さぶり甲斐がある。それでいて近親性も高いので、月日を追うごとにお客様との距離感もどんどん深まっていきます」

 

 

 

実際、この店舗で店長をしていたスタッフが新宿にバーをオープンし、丸の内店の常連だったお客様が今ではバーにも足を運んでくれているという。一方で都市開発という観点では、まだまだ未成熟なのは否めない。そんな丸の内に今後必要な要素とは一体何なのか。

 

「もっと小さいテナントがあると良いですよね。5坪から10坪くらいで、賃料も安ければ、個人で参入できる可能性出てくる。小規模でよりパーソナルな店舗は、街としての深みに繋がってくるんですよ。あとは宿泊施設じゃないですかね。この辺りはラグジュアリー=高級なホテルばかりなので。丸の内らしさを損なうことなく、気軽で便利な宿泊施設があれば、丸の内はまだまだ発展していくと思います」 

 

 

 

撮影:giraffe 丸の内店
100-6504 東京都千代田区丸の内1-5-1 新丸の内ビルディング4F
http://giraffe-tie.com/

 

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遠山 正道(とおやま・まさみち)
1962年東京都生まれ。慶應義塾大学商学部卒業後、85年三菱商事株式会社入社。2000年株式会社スマイルズを設立、代表取締役社長に就任。現在、「Soup Stock Tokyo(スープストックトーキョー)」のほか、「giraffe(ジラフ)」、「PASS THE BATON(パスザバトン)」「100本のスプーン」を展開。「生活価値の拡充」を企業理念に掲げ、既成概念や業界の枠にとらわれず、現代の新しい生活の在り方を提案している。近著に『成功することを決めた』(新潮文庫)、『やりたいことをやるビジネスモデル-PASS THE BATONの軌跡』(弘文堂)がある。
Smiles : http://www.smiles.co.jp/
Soup Stock Tokyo : http://www.soup-stock-tokyo.com/
giraffe :http://giraffe-tie.com/
PASS THE BATON : http://www.pass-the-baton.com
100本のスプーン:http://100spoons.com/
遠山正道のブログ : http://toyama.smiles.co.jp/

 

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