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そういったフラストレーションの解決策として作り上げたのが、代々木ビレッジの「MUSIC BAR」であり、ソファで寛ぎながらダンスミュージックを楽しむスタイル「SOFA DISCO」である。
「街で当たり前のように音楽が鳴っている環境を作るにはどうするべきなのか、ずっと考えているんです。クラブやライブハウスでもなく、カラオケとも違う音楽のあり方。音楽で集まる人も変わるし、人の流れも変わってきますからね。そういった音楽に興味を持つためのタッチポイントをもっと作っていかなければいけない」
そのうえで丸の内ハウスが担う役割とは。
「基本的に商業施設なので、通りすがりの人も多いじゃないですか。だからこそ、不特定多数の人々の音楽へのタッチポイントになる可能性がある。そういった意味では、「SOFA DISCO」のような多くの人が楽しめるスタイルは、相性が良いと思っています。美味しい料理を嗜みながらダンスミュージックに耳を傾けてもらう。気になる曲があれば、スマートフォンのアプリで検索してもらって。ただ、それだけでは物足らない場合もあるので、ときには人が驚くようなイベントを開催したりして。心地良いけど、近寄りがたい緊張感も併せ持っている場所が理想だと思います」
緊張感。それは自身がこれまで育ってきたなかで欠かせないエッセンスだという。
「僕自身、15、16歳でこの世界に足を踏み入れて、右も左もわからないまま、先輩方に揉まれながら育ってきました。そのときの先輩たちはとにかく怖くて、めちゃくちゃ格好良かった。当時の僕は常に緊張感を持って接していました。でも、そういった緊張感があったからこそ、たくさんの刺激を受けたんですよね。正直、その初期衝動だけでここまで突っ走ってきたとも言えるくらい。だからこそ、当時のエッセンスを伝えていきたいなと」
とはいえ、緊張感の押し売りをするつもりは毛頭ない。
「もちろん時代背景も環境もまったく違いますからね。僕自身が影響を、恩恵を受けてきた文化を、今の時代に合わせたフォーマットで提案していきたいんです。その上でこういった東京の中心地である丸の内という舞台は、絶好の場所だと思います。しかも、丸の内ハウスはご覧のとおりオープンスペース。この場所だからこそできる音楽の文化的役割を形作れたら最高ですね」
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大沢 伸一
1967年、滋賀県大津市生まれ。’93年のデビュー以来、MONDO GROSSO、ソロ活動を通じて革新的な作品をリリースし続けている音楽家、プロデューサー、DJ、選曲家。海外レーベルよりコンスタントに楽曲をリリースし、世界中のDJ/クリエイターからのコラボやリミックスのラブコールも多い。作曲家、プロデューサーとしても安室奈美恵、山下智久、AFTERSHCOOLなどにそれぞれの新境地となるような楽曲を提供している。また、トヨタやユニクロなど多数のCM音楽を手掛けるほか、ファッションブランドや店舗への音楽選曲や、代々木ビレッジのミュージックバーをプロデュースするなど音楽を主軸として多方面に活躍している。
www.shinichi-osawa.com
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