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丸の内ハウスのプロデューサーを人選するにあたり、河野さんは一度山本さんの「LOTUS」に訪れたという。
河野「アポなしで行っちゃったんですよ(笑)」
山本「正直、自由でカジュアルにやっているお店に観に来られたので、丸の内のイメージとは全然違うだろうし、この話はもうないのかなと思いましたよ(笑)」
河野「確かに、当初は宇一さんのことを賛成する人もいましたし、反対する人もいました。何故かというと、新丸ビルには“ロイヤルタイム”というキーワードがあり、どちらかと言えば、スタイリュシュとは正反対のトーンだからです。でも、僕は新丸ビルのそういった6階までのトーンとは違った感じがすごく良かった。ただ、テラスのレンガや廊下の意匠など、実際に丸の内ハウスを具現化するのは大変でした」
山本「いろいろな制約がある中で、河野さんには英断していただきました。その決断こそが、各店舗でテイクアウトしたものをテラスや廊下で食べたり、音楽を中心にフロアを盛り上げたりと丸の内ハウスの自由な空気をつくっているのだと思います」
河野「これまでの丸の内にないものをつくろうということなので、宇一さんの感度や価値観を大切にしましたね。その分、ひとつひとつに時間はかかりましたけど(笑)」
山本「普通はクリアできないような制約も、丸の内のクオリティや丸の内のポテンシャルの高さが可能にした面もありますよね?」
河野「丸の内の方々のレベル感は高いので、ニセモノは見抜かれてしまう。やっぱり本物志向でいきたいというのはありましたね」
山本「約6年間、実際にこうやって現場のオーナーと接してみてどうでしたか?」
河野「感度も違うし、面白かったですね。僕はずっとコーポレートだったので、それが良かったのかもしれません。現場をやっていると、先にいろいろなリスクなどを考えたかもしれないですし。オーナーの皆さんも「丸の内」ハウスが好きなので、意見が対立しても、最後は僕が決めたことに納得していただきました」
山本「河野さんには、これだけ自由にやらせていただき、任せていただいたことに感謝しています」
河野「丸の内ハウスはもうすぐ7年目を迎えますが、初めて来た人は必ず驚きますし、鮮度はまだまだあると思います。ただ、丸の内のワーカーたちには馴染み感も出てきました。これからは次のステップです。未来へ向けて刺激を与えたり、夢を与えたりするゾーンであり続けるには、丸の内ハウスがどうあるべきか。ポテンシャルはとても高いので楽しみですね」
山本「河野さんには、一番詳しいゲストとして、丸の内ハウスを見守っていて欲しいです」
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河野 雅明(こうの まさあき)
1972年に三菱地所(株)に入社後、広報部長、総務部長を歴任し、2004年から10年間、商業施設の開発や運営事業に携わる。2009年4月より三菱地所(株)代表取締役専務執行役員。2014年4月より三菱地所(株)取締役兼株式会社ロイヤルパークホテルズアンドリゾーツ取締役社長に就任。
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