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山本「僕が「DEAN & DELUCA」を作らせていただいた頃の丸の内って、日曜日になると人がいなくなる街でした。冗談で料理教室にしようかって話をしていたいくらいですから。それが、今では丸の内ハウスの混雑のピークのひとつが日曜日になりました。これこそがオフィス街に日曜日のライフスタイルが融合してきている証だと思います」
河野「丸の内という街を作るコンセプトは、“オープン、インタラクティブ、ネットワーク”です。これは10年以上前から今でも変わりません。オープンというのは開かれた街を意味し、それまでのワーカーだけの街ではなく、土日も含めて普段は丸の内とあまり関係のない方々にも来てもらい、丸の内を訪れることによってインタラクティブ(=交流)が生まれ、ネットワークへと繋がる。そういった街にするためにはステージが必要です。今はそのひとつが丸の内ハウスになっていますよね」
山本「今回、河野さんとお仕事をさせていただいて、“次にどういう街にしたいか”というビジョン、ロマンを感じました」
河野「「丸の内が変わったね」とよく言われるのですが、僕は必ず「丸の内が変わったんじゃなくて、丸の内を変えたんですよ」と言います。もちろん長い年月を掛ければ変わっていくかもしれませんが、街なんてなかなか変わりません。主体性を持った人が変えてきたんだという思いがありますから」
山本「この『VOICE』にもさまざまなクリエイターの方々に登場してもらっていますが、何かを変えるという意思を持った河野さんもクリエイティブですよね」
河野「“街づくりを通して社会に貢献する”というのが会社のキーワードですので、街づくりという意味でも、クリエイティブかもしれませんね」
山本「丸の内ハウスも街づくりみたいな発想でフロアを作りましたよね。このフロアが他の街や他のビル、フロアに及ぼした影響はどうでしょうか?」
河野「この丸の内ハウスほど、同業のディベロッパーの方が観に来た場所はないと思います。それはここが単なる飲食フロアではないからではないでしょうか。街を作っていく上でキーになる場所だからで、どういった目的を持ってこの街に生まれたのかを知りたいからだと思います。僕たちにとってもすごく誇らしいことですね」
山本「実は丸の内ハウスには運営会議というものが月に1度あり、これまで89回(2014年3月現在)も行っているんです。ディベロッパーの三菱地所さん、フロアに出店している全オーナーさんと総勢20名あまりが参加して、喧々諤々と毎回会議を行っています。そういったことをずっと続けてきた継続の力も、この丸の内ハウスの魅力に繋がっているのだと思います。このスキームを作ったというのも画期的でしたよね?」
河野「開業前からテナントのオーナーの方々が集まるというのはあまりないことです。確かにそれは画期的でしたし、楽しかったです」