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Tomoo Gokita EXHIBITION「GOKITA HOUSE」 ARTIST TALK

 

 

 

 

制作風景に欠かせない音楽

 

山本:五木田さん、古くは忌野清志郎さんとか、音楽のジャケットを結構手がけてらっしゃいますけど。音楽はやっぱりお好き?

 

五木田:好きですね。ないと困りますね。 

 

山本:バンドも?

 

五木田:やってました。遊びで。

 

山本:五木田さんの作品にはリズムやポップな感じであるとか、音楽を感じるんですよ。絵を描いてる時は、聞いたりしますか。

 

五木田:ええと、描き始めは大体聞きますね。僕、朝6時位に起きて、早いと8時半には描き始めるんですけど。一発目は、なんかレコードを聞きますね。描きはじめると入りこんじゃうので、終わっているのに気づかない。気づくと次はもうラジオの文化放送とかにします。

 

山本:僕らは画家さんの完成した作品を見るんですけど、どういう風景で描いてるのかというのが興味あります。朝、結構、早いですね。

 

五木田:早いですね昔から。子供ができてからめちゃくちゃ早くなりましたね。

 

山本:会う時は大抵ビールを 飲んでるから、絵を描いてる時も飲んでるんですか。

 

五木田:あー、一切描く時には飲まないです、ルールを決めてますね。午前中が勝負みたいなとこがあって、午前中3、4時間で午後が決まる。午後昼飯食べると、昼寝15〜30分くらいして、起きてまた描く。

 

山本:あんまりだらだらはやらない?

 

五木田:きっちりしてます。はい、終わりって。

 

山本:そこはまた意外ですね。

 

五木田:よく言われます。飲みながらやってるんでしょ、みたいな。むりですね。

 

菊竹:ブランクとか、思うように描けない時はありますか。

 

五木田:調子悪い時はありますよ。一発目でうまくいくことはほとんどなくて。まあ100点満点中70点くらいのができると、はい次、ってやっていく。やっぱ筆が乗ってくるといいリズム感ができる時があって、そうすると最初の方に書いたものが不満になるんですね。すると消しちゃったり捨てたりしてやり直す。そういうのを繰り返してる。みんなそうだと思いますよ。

 

菊竹:五木田さんは描くために意図的に自分に何かを入れにいくというか、例えばプロレスを見に行くとか、散歩するとかそういうことはあるんですか。

 

五木田:あー昔あったけどもうないな。昔はね、アトリエから多摩川が近いんですけど、ちょっと行き詰まると行って、タバコを一本吸ったりしてましたけどね。朝7時とかの多摩川ってすごいですよ。色んな人がいる。通勤前のサラリーマンがマラソンしてたり。今はひたすらこもってますね。

 

山本:そして描き終わってタイトルをつけるんですか。どの絵もつけてますよね。

 

菊竹:タイトルっていうのはどういう風に?

 

五木田:それももういい加減で。アンタイトルとか嫌いなんで、無理やりつけるんですけど。絵をじーっと見て、何か似ているイメージがあれば、調べてつけたり。あるいは曲名ですね。結構曲名からとっています。最近ちょっと変えますけど、世にある曲のタイトルをそのまま絵のタイトルにしていますね。

 

菊竹:それはある特定のジャンルではなくて?

 

五木田:色んな音楽の。

 

山本:あの沢山のポートレートはエバとかシモ―ヌ、名前がありましたよね。

 

五木田:あれはね全部1930年代40年代の女優さんの名前。昔のポートレートの写真を見ながら描いたんですよ。全然完成した作品とは違いますけどね、大体そのままシモ―ヌとか、キャサリンとかね。

 

山本:絵の女の人って、顔はなくても喜んでるとか笑ってるとか、その出てくる人物の情景っていうか、感情みたいのはそれぞれなんとなくイメージにあるんですか。

 

五木田:あー僕なりにあります。あえて何も言わないし、説明はしたくないんですけど。

 

山本:それはすごい感じるのね。顔の中が白黒映画になってたりとか、シルバー“一色”とかだけど、なんとなく感情があるような気がする。

 

五木田:でもこういう顔のない世界って、昔から美術史にもイラストレーションにもあるんです。別に新しいものと思ってないですけど、これもクセになるもんですね。小さい頃からプロレスのマスクマンとか、ルチャリブレとかアフリカの伝統的なものとかマスクが好きで、その影響があるんじゃないかと思います。

 

 

Tomoo Gokita EXHIBITION「GOKITA HOUSE」 ARTIST TALK

 

 

山本:これ(アナログLPレコード)は90枚あるんですけど、すべて微妙に角度が違う、俯いてたり横向きだったり。

 

五木田:真正面とかも。

 

山本:実際はこれテイくんのニューアルバム『CUTE』のジャケットですよね。どういう方向案でつくったんですか。

 

五木田:いや、テイさんからは何も言われませんでした。タイトルと曲を渡されて。

 

山本:曲を聞いて描いたんですか。

 

五木田:ええ。同時進行で僕はロサンゼルスでの個展の作品を描いていて。ある程度、そちらが落着いたので、じゃあテイさんのやろうかって試しに描いたら、これでいいやって。

 

山本:この展示作品は銀で顔がつぶれてますけど、実際のジャケットには顔がちゃんとありますよね。

 

五木田:そう久々にちゃんと描きましたね。時間かかったんですけどね。キャンバスものよりも全然かかった。木炭と鉛筆と色々使ってるんですけど。結構神経質に描きましたね。

 

 

 

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