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VOICE 29. | 2015.May | Shinsuke Kawahara

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世界的にも、唯一無二な魅力のある街ということでしょうか。

 

 

「街は常に変化し続けないと、ミュージアムのようになってしまう。もちろんパリは素敵だけれど、変化がないという面からいえば、いずれそうなってしまうんじゃないかという危険性は感じます。自分も含めてなのですけれど、なぜ東京がこんなに楽しくてワクワクすることでいっぱいなのかというと、どこに行っても人がいて賑やかで、商業施設やビルがどんどん建って、新しいムーブメントが大小関係なく動いているから。日本人だけど外国人気質を持っている僕みたいな人間にとっては、それがすごく魅力的に映るし、そこに日本の良さや伝統を融合させて、新しい世界をつくることができるんじゃないかという可能性も大いに感じます」

 

 

 

外国人のお客様にもアピールできる可能性を感じるということですね。

 

「それこそ、自分が初めてパリに降り立った頃に比べれば、移動手段やインターネットの発達によって世界は小さくなりました。明日パリに帰ろうと思えばたった12時間で帰れるし、自分が今どこにいるかということも、そんなに重要じゃないことなのかもと感じます。特に僕のようなアート関係の仕事をしている人たちにとっては、例えば今日東京のクラブで会ったのに、一週間後にL.A.のレストランでばったり会うなんていうことはザラ。先週パリでミーティングした仕事仲間と東京の丸の内で偶然に会って、「今夜パーティがあるから来て」「うん、行くよ」なんていうことも自然になってきているっていうのは、本当にすごいことだと思います」

 

 

 

雑誌や広告のアートワークやラグジュアリーブランドのクリエイティブ・ディレクション、レストランのプロデュースやホテルの総合デザインも手がけるなど、幅広いジャンルで活躍する河原さん。街の「デザイン」をしたいと思ったことはありますか。

 

「モノをつくるときに思うのは、なんでもデザインできるのだということ。例えばカフェのコップやストローのデザインからどんどん広がって、店の内装や建物、歩道や大通りまで、小さいところからどんどん引いていくと、俯瞰で街のデザインがみえてきます。僕が周りから『いろんなことをやっているんですね』って言われるのは、クリエートすることに区切りがないから。一枚のコースターの絵を描くのも、ホテルをつくるのも、クリエーションとしては自分のなかでは同じです。そういったデザインが積み重なることで街ができていくのだろうし、そこを訪れる人たちも街を作っていく。もしも将来的に、オープンな気持ちで街づくりに参加できるとしたら、そんな素敵なことはないなと思います。丸の内ハウスも、最初に訪れた時はすごく驚きました。商業ビルで朝4時まで営業していて、朝まで人のにぎわいがあるなんていう場所は世界中どこにもない。丸の内は東京の入り口としての顔も持っている街でもあるので、外国からのお客様にもアピール力があると思います。誠実さとか、もてなしの心などといった日本の良さを残しつつ、新しいことをどんどんミックスしていければ、もっともっと素敵な街になっていくでしょうね。大それた考えですけれど、自分もそういう機会に参加できたらすごく光栄です。僕は楽しいことができれば、それだけでいいので(笑)」

 

 

 

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河原シンスケ(かわはら・しんすけ)
武蔵野美術大学卒業後、80年代初頭よりパリを拠点に創作活動を開始。フランスのファッション誌のイラストや、百貨店、ラグジュアリーメゾンなどの広告を手がけるほか、ホテルの総合デザイン、レストランのプロデュースなど、活動は多岐に及ぶ。今年1月、約20年ぶりとなる日本での個展を開催。8点の作品を出店したエルメス銀座店「プティ アッシュ」展は5月17日まで開催中。

 

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