(marunouchi)HOUSE全体を会場とするアートエキシビジョン『the MOTHER of DESIGN』が、10月29日にスタートしました! 第3回目となる今回は、韓国のクリエイターCHOI JEONG-HWA(チェ・ジョンファ)さんを招聘。『A Peace of Everyone』と題された展示は、すでに大好評。 今回は、チェ・ジョンファさん、ディレクターの山本宇一さん、キュレーターの西山裕子さん、そしてチェさんの作品の設営サポートとして参加した、アーティストの南條フランソワ俊輔さん、南條クリストフ健佑さんにお集まりいただきました。
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山本 僕は、「ピンク ピッグ」を見て、まずピンク・フロイドの「アニマルズ」というアルバムのジャケットを思い浮かべたんだよね。これなんだけど。
チェ (ジャケットのビジュアルを見ながら)いや、全然知らなかった。面白い!
山本 僕の大好きなアルバムで、完全にこれを意識しているのかと思った。
チェ ぜんぜん知らなかった。
山本 このアルバムの中では、豚と犬と羊が3つの階級で、豚が支配階級という設定だった。
チェ そのときの豚は何を意味しているの?
山本 豚は、権力の象徴だった。
西山 やっぱり太ってるからかな(笑)
山本 豚は宗教的にも扱われるし、よくも悪くも気になる存在だよね。
西山 中国では富の象徴だし。
山本 僕は好きですけどね、豚。かわいいし。
チェ 僕も好き。
西山 チェさんはずっと昔から豚をモチーフにしていますよね。でも、理由はないのよね。
チェ そう。私はいつも、「your heart is my art」、あなたの心が私のアートになりますと言っています。インタビューで私が必ず聞かれる「これは何ですか? なぜこうなんですか?」という質問を、逆に、私から見た人に問いかけているということです。アートは説明がいらない、答えもひとつじゃない、あなたの心に浮かんだことが全部答えです、と言っています。説明書がいらない作品が、一番いい作品。でもみんな、美術館で説明書を読むでしょう? それはあまり好きじゃない。どんな風に見てほしいかとか、そういうことも考えない。見ている人の考えが一番重要です。
山本 でもやっぱり、いろいろ聞きたくなるよね。何でロータスをモチーフに選んだの?とか。バラとか、菊とか、いろいろある中で、なんでロータスだったの? 実は僕は、原宿で「ロータス」という店をやっているので、すごくうれしかったんだけど。
チェ 花の種類はいろいろあるけど、ロータスが一番作りやすかっただけ(笑)。
山本 本当はね、この「オレンジ ロータス」は、西山さんに「もっとちっちゃくならないの?」って聞いちゃったの。
西山 あはは。あの時はもう作り始めていたから。
チェ もっと小さいのもありますよ(笑)。
山本 でも、この空間を見たらこのサイズだったんだろうなって。
西山 そこが冴えているところですよね。だから実はプロフェッショナルなんです。チェさんは、作品作りを始める前に、この場所を見ているので。
チェ それが私にとって、一番重要なんですよね。
西山 だから場所に合わせた作品づくりができたんですものね。
俊輔 前から聞きたかったんですけど、「プラスティック コラムス」の素材を集め始めたのはいつ頃ですか?
チェ 最初に集め始めたのは、20年くらい前。
俊輔 えっ、20年前から集めてたんですか!? 集め始めた時は、こういう作品が作りたいという考えが頭の中にあったんですか? それとも単純に「これキレイだな」って集め始めたんですか?
チェ キレイだから集め始めただけ。
俊輔 じゃあ、どの時点でこれがこういう風になるっていうことになったんですか?
チェ たぶん、1ヶ月前?
一同 笑
山本 じゃあ、これを作るのに、20年かかったっていうこと!?
チェ そう(笑)。
山本 でもこれ、よく見ると同じ物が2つないと作れないんだよね。
西山 そう。そこもPeaceよね。
チェ この作品は、私が自分から「これをやりたい」って写真を送ったんです。
西山 この展覧会の話があってから構想し始めたの?
チェ そう。
山本 じゃあ、まったくの新作?
チェ そう。