今回のゲストは、グリーンのプロデュース集団であるSOLSO architectual plant&farm代表の齊藤太一氏。白金のアダム エ ロペのグリーンショップ「BIOTOP NURESERIES」をはじめ、話題のスポットの数々をディレクションする植物のスペシャリストだ。12月25日まで丸の内ハウスを飾るクリスマスツリーも、彼が演出したもの。12月14日からは丸の内ハウスのギャラリーにてインスタレーションを開催する予定だ。
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「エントランスに飾ったツリーは、カナダのバンクーバーやアメリカのポートランドからやってきた針葉樹の一種。モミの木よりも葉が豊富で、この場所によく馴染みそうだったので採用しました。クリスマスに合わせてインスタレーションも予定しています。このフロアのギャラリーを使って、オレゴンの冬の森を表現する予定です。森の香りが漂う、ひんやりとしたクリスマスの森の空気を感じられるような空間を作ろうと考えています」
齋藤さんといえば”グリーン”の第一人者ですが、今のお仕事をするに至った経緯を教えてください。
「自分で会社を立ち上げる前は、ヨーロッパのホテルといった高級ラインのアレンジメントの仕事を10年ほどしていました。とても勉強になる職場でしたが、よりナチュラルで、都会に潤いをもたらすようなものをつくりたいと思うようになったんです。田舎で自然が身近に存在しているような感覚で生活に取入れられたら気持ちいいよな、と考えて。それでSOLSOを立ち上げました。そうした都会のガーデニングのやり方を僕らは”アーバン・ガーデニング”と呼んでいます。高級なところで植物を扱っていると、グリーンがツール化してきてしまうんでよね。僕らが着ている服や食べているもの、肉だって、もとは動物が草を食べて出来たもので、全てのもとを辿ると自然と繋がっているのに、それらを分断してしまいがちなグリーンのあり方に違和感を持ったんです。これまでまわりに当たり前に存在していたものが、実は地球上ではなくてはならないものだったのだと気づいて。それからは農薬の歴史や、使ってはいけない薬など、あらゆることを勉強しました」
場をアレンジする際に心がけていることは何ですか。
「手がけたものが空間へ自然に馴染んでいる状態が、一番自分たちらしいと感じてます。グリーンは、そこにあるかないか意識できないくらいの存在感がちょうどいいんです。僕らは自分たちのことをアーティストではなく、黒子だと思っているので。影から、その場その場にあったグリーンのあり方を提案していきたいです。今でも、植物を通して色んな人と関わりながら、本当に感じてもらいたいことを見いだそうとする実験の最中だと思っています。自分のエゴみたいなものは出さずに、聞き手となる、というのが自分のスタイルです」