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VOICE 25. | 2015.January | Osamu Shigematsu

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Text_Naoyuki Ikura

 

 

 

もはや一般的になった「セレクトショップ」という概念を世に提案したパイオニアであり、昨年25周年を迎えた㈱ユナイテッドアローズの創業者である服飾界の重鎮、重松 理さん。近代の日本のファッションシーンを牽引してきたキーマンとして、またひとりの洒落者として、酸いも甘いも噛み分けた大人が語る、丸の内という街、そして丸の内ハウスとの関わり方。

 

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「大学を卒業して数年間、婦人服の営業をしていました。都内各所をルートセールスして回るのですが、あの頃の丸の内は完全にオフィス街。マーケットなんてありませんし、当然いつも素通りですよ。ですから、ほとんど馴染みのない街でしたね。それから四半世紀が経ち、’90年代の終わりにオープンしたコム デ ギャルソンが、この界隈では最初のショップだったと思います。正直、無謀な出店だと驚きましたし、実は当時、ユナイテッドアローズにも出店オファーをいただいていたのですが、お断りしたのを憶えています」

 

 

 

それが現在では、丸の内ハウスのある新丸ビルを筆頭に、㈱ユナイテッドアローズとして全8店舗を出店するまでに。

 

「今でこそ、さまざまなストアブランドを出店していますが、この街を商圏として認知したのは、かなり遅いタイミングでした。商業が発展するリアリティを感じませんでしたし、まさかこんなに発展するなんて……というのが本音ですね。先見性のなかった自分を反省しています。原宿や渋谷では明治通りを中心とした街づくりに参加してきた自負は多少ありますが、丸の内の再開発・急成長の当事者になれなかったことは、本当に残念。ですから、この辺りではユナイテッドアローズは新参者ですし、まだまだなんですよね(笑)」

 

 

 

そう謙遜するが、ユナイテッドアローズもエリアの顔たる人気ショップとなった今、この街をどのように見ているのだろう。

 

「日本で最も美しい街ではないでしょうか。うん、景色がいいですね。またマーケットとしての歴史は浅いものの、原宿や渋谷、近くの銀座や有楽町といった他のエリアと比べても、ポテンシャルは劣らない。首都の玄関口である東京駅の目の前なので、丸の内のショップは全国のお客様に見ていただいている気持ちですし、皇居の目の前でもあるので、衿を正して商売をさせていただいています」

 

 

 

そしてファッションと丸の内ハウスの関係性を深めるべく、2013年から開催しているレギュラーパーティ〈PEACEFUL JOURNEY〉。このイベントではユナイテッドアローズをはじめ、ビームス、アダム エ ロペ、 ワイルド ライフ テーラー、ジャーナルスタンダードといった発信力のあるセレクトショップが企業の垣根を越えて手を組み、各社の主力として活躍している世代が旗振り役を務める。

 

「弊社の小木(ユナイテッドアローズ メンズバイヤー兼ユナイテッドアローズ&サンズ ディレクター)など、30代後半の世代が中心となって運営しているようですね。これまでであれば原宿や渋谷で開催していたであろうイベントを、彼ら自身も大人になって丸の内でトライしているところがいい。新しい可能性を感じるチャレンジだと思いますし、僕も楽しみに遊びに来ています」

 

 

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